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■ルイ・十四世騎馬像ヴェルサイユ宮殿に帰還

2009年4月27日、春の太陽の訪れと共に、3年間もヴェルサイユ宮殿を留守にしていたルイ十四世の騎馬像が戻ってきました。
高さ5m50、長さ4m50の堂々たる御姿です。
馬の彫刻は、ピエール・カルトリエ Pierre Cartellier 作で、王政復古の時代、コンコルド広場に設置する予定で実現を見なかったルイ十四世の騎馬像の為に1829年に鋳造されたものです。
ルイ十四世像の方は、彫刻家ルイ・プティトLouis Petitotによる作品で、1836に鋳造されました。



すでに30年程前から、王の帽子の羽、帯刀、馬具などの腐食が激しく、朽ち落ちそうだったのですが、ようやくメセナ La Française des jeuxのお陰で、今回2年間の修復期間をかけて、若返って健康な御姿で太陽王はご帰還です。
そのリハビリ費用は50万ユーロで、高さ4メートルの台座も修復され、ブロンズ像には公害防止策も施されたようです。
(台座及び周りの敷石の工事が完了しておらず、5月20日現在、まだ足場仮枠が外されておりません。)



この騎馬像は、1836年、ルイ・フィリップ王がヴェルサイユ宮殿を《フランスのすべての栄光の為》のミュゼにした年に中庭に置かれ、フランス革命以前には存在しなかったものです。(VERS 3の写真)それまで騎馬像のあった場所には、かつて建築家ジュール・アールドワン・マンサールの監督下で1680年頃に建築された《王の門》が再現され、2年間の工事を終え黄金に輝いています。



この門は長さ80メートルで、15トンもの鉄、10万枚もの金箔が使用され、その修復費用は500万ユーロに達し、北側の哨舎の上にはチュビイTuby作の《豊穣の女神》、南側哨舎上には、クァズヴォックスCoysevox作の《平和の女神》が置かれています。当時は、王族または王が特別に許可した選ばれた貴族しか通れなかった門でした。





今回騎馬像が置かれた場所は、元の所からはかなり前に移動していて、宮殿の正面、パリ通りの始まるla place d'Armeです。
ここは”太陽王”とも呼ばれるルイ・十四世の考えた壮大なヴェルサイユ宮殿及び都市計画の主軸に位置し、まるで宮殿を訪ねる人々を王自身が迎えてくれるかのようです。



歴史家の中には、「プロポーションが悪く、まるで王はポニーの上に座っているようだ」とか、「王宮の中庭ではなく、一般人の通行する場所に置かれるのは、王にとっては不満であろう」とか言う人もおりますが、観光客としては、ルイ・十四世自らが出迎えてくれているようで、これから始まる宮殿見学を何か楽しい嬉しい気分にさせてくれます。


松下 光子
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