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■ミイ・ラ・フォレ( Milly-la-Forêt )とジャン・コクトーの礼拝堂

 パリから高速道路A6で南に約50 Km、ミレーの「晩鐘」、「落穂拾い」のモデルとなった教会と畑の手前を国道 372 号線へ右折、8 Kmほど行くと人口約5,000人の可愛らしいミイ・ラ・フォレの村に着く。Milly とはラテン語で騎士という意味、すなわち騎士の森。昔はサン・チャゴ・コンポステラ( St.Jacques-de-Compostelle )への巡礼道路の宿場で大いににぎわい、村の中央に今でも残る船底アーチ型の屋根を持つ15世紀の立派な市場の建物がそれを物語っている。




15世紀の市場



 ルネッサンス時代には近くにフォンテーヌ・ブローのシャトーが出来た事もあって、パリから行くと中途の場所にあり、アンリー4世が恋人ガブリエル・デストレと密会したり、ルイ14世又、ルイ16世も王妃マリー・アントワネットと共にフランス王家の人々がしばしば憩いの場所として滞在した。




中世の古城



 小さな村なので徒歩で見学できる。村に流れるレコール(l'Ecole)川のほとりの古い洗濯場、中世の小さな古城等、細い裏通りと共に情緒が一杯。




昔の洗濯場



 近代ではオートクチュールのクリスチャン・デイオールも滞在し、彼のモード装飾品にはMilly-la-Forêtと名づけられた。又1947年から詩人・作家・演劇家ジャン・コクトーが俳優ジャン・マレーと共に住んだ家も残っている。




コクトーの家・裏庭から
   


室内


アトリエ
   


マリー・ローランサン「ジャン・コクトー」



ベルナール・ビュッフェ「ジャン・コクトー」


 彼は村はずれにある小さな礼拝堂サン・ブレイズ・デ・サンプル(Saint-Blaise-des-Simples)の内部装飾を手がけた。この礼拝堂は昔、らい病患者用病院の付属礼拝堂であった事から、今でも庭には様々な薬草が伸びている。礼拝堂内部に入ると壁にはコクトー独特の筆タッチで、キリスト受難と復活、花をつけた薬草等が描かれている。
 小さなステンドグラスから差し込む光の中で、ジャン・マレーの低く神秘的な解説を聞いていると「美女と野獣」「オルフェの遺言」等ユニークな文学作品と共に多彩で華やかだったコクトーの人生が偲ばれる。コクトーはここに眠っている。
 祭壇の下にある彼の墓石には「Je reste avec vous」(私はあなた方と共にいる)という言葉が刻まれています。




礼拝堂の祭壇


壁画【花をつけた薬草】とステンドグラス


 この村の、その他の見所としては、礼拝堂の先に「国立薬草香草園」がある。此処のペパーミントはあまりにも有名です。又、村はずれの森にはギリシャ神話の一つ目巨人シクロプを彫刻化した前衛芸術(タンゲリー作)がある。
 晴天の日には子供づれで自然の空気を吸いながらの格好の散歩道。ミイ(Milly)の村の近くには芸術村バルビゾン(Barbizon)があり、週末の半日観光でも十分満喫できる。尚、ミイ(Milly)村の市場の前には「Le Cygne」(白鳥)と言う名の帆立貝をメインとしたお料理の美味しいレストランがありお勧めです。




サン・ブレーズ・デ・サンプル礼拝堂



Chapelle Saint-Blaise-des-Simples オープン時間10h〜12h、14h30〜18h

ル・ルージック(Le Rouzic)明子
>>プロフィール


この記事は日本人会新聞の連載【旅三昧・奥深いフランス FRANCE PROFONDE】に記載されたものにイメージを足したものです。日本人会のホームページ:http://www.nihonjinkai.net




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