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■コンク・サントフォワ教会堂のステンドグラス
画家ピエール・スラージュ8年間の美の探究の結晶


  抽象画家で白いキャンバスに筆で黒の力強い線を描いて表現するピエール・スラージュ(1919年フランス・アヴェロン県ロデス生まれ)はフランスを代表する現代作家の一人である。

  そのスラージュに1986年文化省がコンクの有名なロマネスク教会サントフォワのステンドグラスを注文した。
  スラージュにとってはこの教会には特別の思い入れがあった。彼は14歳の時、学校の遠足で始めてこの教会を訪れ、内部に足を踏み入れた途端に建築の美しさに圧倒された。そして影の暗さの与える黒の豊かさと激しさや石の茶色や青灰色を美しいと感じた。それ以来画家となる決心をした。
  ステンドグラスは明るい光が教会内部にふんだんに差し込むよう無色で、しかも半透明にし、この光が生命を持ち、時の移り変わりによって微妙に変調するようにと考えた。長い模索の末に彼は非常に白い大小のガラス玉を混ぜ合わせて型に入れ高温で溶解させると結晶ができその結晶の出来かたにむらがあるので差し込む光にヴァリエーションを得るという技術を開発しそれをツールーズのガラス職人ジャン・ドミニック フルーリーに依頼し104の窓にステンドグラスを取り付ける大作業が行われた。
  「11世紀のこの教会はわずか56mの長さしかないにもかかわらず何故これだけ多くの窓を設けたかと考えれば、当時の建築家は教会内部に多くの光を取り入れたかったと考えられるし、実際北側の窓は南側に比べるとより小さくて幅も狭い。その考えを私も受け入れ、北側は一層ほの暗さを強調し南側は明るい光がふんだんに差し込むよう配慮した」と作家は語っている。1994年6月に落成した。


稲葉 トモ子
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