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■生ガキツアーでフランス新発見!

冬にフランスを訪れる日本人が必ず興味を持つのは生ガキ料理です。さすがに海産国から来ただけあって、魚料理専門レストランの店頭に飾られる海産物(写真1)は日本人の足を止め、また観光バスの車窓に日本人の眼を釘付けにするようです。フランスはヨーロッパ一の生ガキ生産国。フランスの冬の旅に生ガキツーを企画してみました。
 

写真1
 
パリに近いところから始めますとまずノルマンディーの上陸作戦(1944年6月6日)が敢行されたスウォード、ジュノ、ゴールドビーチのある真珠母貝海岸(cote de nacre)です。中心都市カン(Caen240km)は大戦で殆ど破壊されましたが英国征服大公ウイリアムの眠るロマネスク聖堂が幸運にも残っています。この海岸をオマハビーチ奥まで進みますと高級バターで知られるイジニー(Isigny)があり海では生ガキも養殖しています。この町はコトンタン半島の根元に当たる所で半島はイギリスの方へ60kmほど伸びていてそこに雨傘で有名な町シェルブール(Cherbourg)があります。コトンタン半島の養殖地は東側でサン・ヴァ・ラ・ウーグ(Saint-Vaast-la-Hougue)(写真2)、西側ではクリスチャン・ディオールの生家があるグランヴィル(Grandville)です。グランヴィルからはモンサンミシェル修道院建造の石切り場があった神秘的島ショーゼーへ定期船が出ています。ノルマンディー産をパリで味わいたければ終着駅サン・ラザールの前にレストランが2軒あります。
 

写真2
 
モン・サン・ミッシェルを訪問した後はブルターニュ地方、グルメの町カンカルを訪れましょう。海辺では嬉しいことに生ガキ養殖業のマダム達が屋台を開き生ガキを開けてくれます。ここには馬の足(Pied de cheval)という巨大な生ガキが養殖されており、とろりとした味は舌を滑らかにします。リアス式海岸を誇るブルターニュ地方を大西洋の方に出ますとブロンBelon川が現れます。生ガキ・ブロンは生産量こそわずかですがフランス伝統の生ガキで形は平たく丸く、味は芸術の妙。ただ高くつくのが欠点です。ゴーギャンを始め後期印象派の画家たちが住みこんだポン・タヴェン(Pont-Aven)村は近いですのでこの村での宿泊をお勧めします。ノルマンデーやブルターニュは雨が多くワインは醸造できませんが、代わりにシードル(リンゴ酒)があります。もしシードルならばかなりのBRUT(辛口)を生ガキと味わうべきでしょう。ブルターニュの生ガキをパリで味わいたければ終着駅モンパルナスの界隈を散策しましょう。
 
大西洋沿いにずっと下って行くとやがてフランス最長の河ロワールの河口が現れます。河口にある町サン・ナゼールは豪華客船建造で知られています。この地方で養殖される生ガキや醸造される白ワイン(特に生ガキにフランス人がまず注文するNantesのミュスカデMuscadet)は豪華客船に積み込まれることでしょう。
 
ロワール河口から南に下るとシャラントという川が流れています。余り知られていませんがこの川はコニャックの町を流れています。世界的に有名なブランデーの町を繁栄に導いた川です。県庁は港町ラ・ロシェルにあり、海の方ではオレロンOleronの島を中心に世界一の生ガキ養殖場を誇り質においても極めて高級です。生ガキ養殖場のことをクレールClaireと呼びClaireは昔の塩田跡ですがそのまま生ガキの名称としてレストランで使われています。ここの生ガキには海草の色が付いたものがありグリーンVerteが実に美しくまた珍味です。Speciale de Claireと言う場合は肉付きの良い生ガキです。レストランのメニューのClaireには番号が付けられていますが番号は0から5まであり0が一番大きく5が一番小さいサイズになります。ちょっと注意が必要です。
 
シャラント地方を南下するといよいよボルドーです。ボルドーは世界に誇る赤ワインの産地で日本人グルメ達の垂涎の地です。ボルドー5大ワインのシャトー・マルゴのぶどう畑からはジロンド河が見えますがこの河口はヨーロッパ一の幅を誇り連絡船が定期的に出ています。ボルドーを訪れましたら赤ワインのみならずこの地方にある潟湖(せきこ)アルカッションArcachonの生ガキにも舌鼓を打つべきでしょう。白ワインはもちろんあっさりした味わいのボルドー産Entre-Deux-Merです。ロワール、シャラント、ボルドー地方へは大西洋TGVがパリ・モンパルナスから走って来ますのでこれらの地方の生ガキもやはりパリではモンパルナス駅界隈で味わうことが出来ます。
 
潟湖とは砂州が伸びて外海と切り離された湖を言いますが、地中海の方にも潟湖があり生ガキの生産地になっています。特にラングドック・ルシヨン地方(中心都市Montpellier)のトー潟湖(Etang de Thau)周辺を旅してみましょう。日本人が良く行くコート・ダジュールとは全く違った風景を見ることが出来ます。また地中海独特の養殖方としてサスペンション(海中吊るし縄)方式で養殖される生ガキもあります。ボルドーと比べればラングドックのワインは殆ど邦人には知られていませんがかなり安くしかも美味しいものを発見できます。大西洋と地中海を結ぶ運河(Canal du Midi)をこの地で観れるのも旅の興味を更に募らせることになるでしょう。地中海まで伸びているTGVのパリ出発駅はリオン駅ですのでこの駅前の海産料理専門店で地中海生ガキを味わえるチャンスがあります。
 
オルリー空港から1時間半で着く地中海に浮かぶ島・コルシカはナポレオンの生まれた所で知られ今でも首都アジャクシオには生家が残っています。コルシカは広島県と同じくらいの大きさで山岳と海に囲まれた自然豊富な島です。このコルシカでも潟湖になっている所があり生ガキが養殖されています。アジャクシオとは反対側のアレリア(Aleria)の周辺にあるダイアナ湖とウルビノ湖です。生産量は少なくパリまで輸送されることはないだけに興味を募らせる生ガキではないでしょうか。
 
このようにして生ガキ三昧フランス旅行も企画可能なわけです。リピーターの方には新しいフランス発見があってきっと味わいのある旅になること請け合 いです(写真3)。 
 

写真3
 

パリ・ガイド通訳協会HP文化部



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